根本改善のために知っておくべきこと
お尻から足の後ろ側にかけてあらわれる、足の神経痛・脚の神経痛・しびれ・麻痺がある時に、「坐骨神経痛ですね」と言われたことがある方は多いではないでしょうか。
その坐骨神経痛の原因に色々あるのはご存知ですか?
知っているようで意外と知らない、坐骨神経痛についてご説明致します。
坐骨神経痛とは?
足の神経痛である坐骨神経痛とは、病名ではなくその症状の名称です。
坐骨神経の走行と分布領域に、痛み(疼痛)やシビレ(痺れ)、冷たい(冷感)、力が入りにくい(脱力感)、ザワザワする、足裏に何かある感じ、砂の上を歩いている感じ 等などの違和感を感じるものです
坐骨神経はどこを通るの?
坐骨神経は、腰椎4・5番、仙骨1・2・3番より出た神経が合わさって骨盤の前面を通り、臀部(おしり)から後面に出て太ももの後面を通り、 ひざの裏で2本に分かれます。
①1本は、ふくらはぎの後面から足裏・指まで
②もう1本は、ふくらはぎの外側をとうり足の甲から指まで いきます。
人間の中で最も長い神経です。
坐骨神経痛の原因は?
腰部脊柱管狭窄症・腰椎椎間板ヘルニア・変形性腰痛症・腰椎すべり症・腰椎分離すべり症・梨状筋症候群・圧迫骨折・後縦靱帯骨化症・側弯症
内科的な疾患からは、糖尿病性神経痛・帯状疱疹後神経痛・脊椎腫瘍・閉塞性動脈硬化症・バージャー病などが考えられます。
それらにより、脊髄神経や、そこから伸びる末梢神経、神経根が圧迫されたり、 締め付け(絞扼)られたりする事により、様々な違和感を感じます。
腰部脊柱管狭窄症(ようぶ せきちゅうかん きょうさくしょう)
狭窄は、「すぼまって狭い」という意味です。 脊柱管という脊髄神経が通過する管のどこかが狭くなり、神経を圧迫し、様々な違和感が起こります。 最も多いのは、老化(加齢)による骨等の変形によるものです。 ①脊柱管の中にある黄色靭帯や後縦靱帯が加齢により骨化し、脊髄を圧迫する場合(馬尾型)、 ②神経根の近くにある椎間関節や椎間板の老化による変形(骨棘)により神経根を圧迫する場合 (神経根型) ①馬尾型、②神経根型、その両方の③混合型があります。 ①馬尾型は片足か両足に、 ②神経根型は片足に、 ③混合型は片足か両足に症状がみられます。
腰椎椎間板ヘルニア(ようつい ついかんばん ヘルニア)
椎間板の中にある髄核が外に出てしまい、脊髄や神経根を圧迫し違和感が起こります。
若い世代の坐骨神経痛や腰痛に多くみられます。
座り仕事や、長く運転する、荷物を運ぶ、 腰を捻る、介護職、などにみられます。
変形性腰痛症
椎間関節の軟骨がすり減り、その周辺に骨の増殖が発生する変形が起こります。 この変形部分により神経が圧迫され違和感が起こります。
腰椎すべり症・腰椎分離すべり症
椎骨の並びにズレが起きた状態です。椎間関節のあたりで骨に分離がみられるものを分離症といいます。
分離症は、若いスポーツをする方にみられやすいです。
梨状筋症候群
梨状筋という筋肉の下から、又は、筋肉の間を通り坐骨神経は出てきます。
足を組んで座っていたりする事により、骨盤に歪みが起こり、梨状筋が固くなる等により、 坐骨神経が圧迫され違和感が起こります。
糖尿病性神経障害
手袋や靴下で覆われる部分に、左右対称に発症するのが特徴で、 手足に以下のような症状が現れます。
・焼けるような、針で刺すような、電気が走るような痛み
・触れただけでも痛みを感じる(アロデニア)
・感覚の低下、温・冷感の低下(知覚低下・感覚鈍麻)
・足の違和感(石や布団の上を歩いている感じなど)
閉塞性動脈硬化症(ASO)
お腹より下へ行く大動脈、特に下肢の動脈が動脈硬化により狭くなったり、 塞がったりする事により血流障害が常に起こっている状態です。
脚の痛み、しびれ、冷感、間欠跛行、皮膚の潰瘍・壊死等の症状がでます。
バージャー病(TAO)
手足の小さな動脈に炎症が起こりあちこちで血管が詰まり血流が途絶え、 間欠跛行、脚の痛み、しびれ、冷感、皮膚の潰瘍・壊死等の症状がでます。 20~40代男性で喫煙する方に多いと言われます
坐骨神経痛の症状は?
神経の走行に沿った違和感(痛み(疼痛)やシビレ(痺れ)、冷たい(冷感)、力が入りにくい(脱力感)、ザワザワする、足裏に何かある感じ)や、片足・両足の筋力低下、膀胱直腸障害がみられます。
一般的には、
腰を前に曲げて(前屈)違和感が強くなるのは、 腰椎椎間板ヘルニア。
腰を後に反って(後屈)違和感が強くなるのは、 腰部脊柱管狭窄症。
腰を前屈しても後屈しても違和感が強くなるのは、 両方の混合型といわれます。
また、 違和感が長引き進行すると、感覚が鈍くなてきたり、足に力が入らない、 スリッパがすぐ脱げる、等の症状が現れます。
更に、排尿や排便の感じが鈍い・残った感じ、拭いた感じがしない、時間が掛かり過ぎる、 トイレが近すぎる、肛門辺りに違和感を覚える場合には、早急に手術を必要とする可能性もありますので、注意が必要です。
間欠跛行(かんけつはこう)
脊柱管狭窄症の場合に特徴的な症状は、「間欠跛行」と呼ばれ、少し歩くと痛みや痺れの為に 歩行が出来ず、座ったり、腰を前にかがめて休むと 楽になるものです。
自転車に乗っている場合には、腰が前に曲がっている ので間欠跛行の症状は出ません。
間欠跛行は歩いている時だけではなく、電車で立ってりる時、炊事をしている時、歩いている時、 寝ている時にもみられます。
共通する事は、腰が反ってしまう事により 狭窄症の症状を強くしてしまう事です。
※閉塞性動脈硬化症(ASO)、バージャー病(閉塞性血栓性血管炎(TAO))の場合に、 間欠跛行があらわれ、腰を前にかがめて休んでも楽にはなりません。
坐骨神経痛の治療は?
大きく保存方法と手術方法の2つがあります。
保存方法は、一般的に手技療法、物理療法、投薬療法、装具、ブロック療法に分けられます。
手技療法
鍼灸(はり灸)や、手技療法により違和感を緩和します。
物理療法
治療機器を使用して、電気をかけたり温めたりしる事により、筋肉をゆるめたり、筋肉や神経への血行を良くして、違和感を緩和します。 干渉波、低周波治療、 電気筋肉刺激治療、マイクロカレント治療(微弱電流治療)、 超音波治療、マイクロ波、 ハイボルト療法を行います。 大相撲の横綱、プロ野球、Jリーグの選手が使用している治療法です。
投薬療法
痛み止めの薬や湿布により違和感を緩和します。
装具療法
腰痛ベルトや骨盤ベルト等のコルセットやサポーターにより固定し痛みの緩和を図ります。
ブロック療法
硬膜外ブロックや神経根ブロックの注射により痛みの緩和を図ります。
当院では、熟練を要する高度な手技療法と、最新の科学技術を用いた機器による物理療法を得意としております。